IO-LinkとPLCの連携
プログラマブルロジックコントローラ(PLC)は、工場などの自動化制御において重要な役割を果たします。しかし、デジタル化と効率化の需要が高まるにつれ、従来配線によるポイント・ツー・ポイント接続では対応できなくなってきました。IO-Linkは、モジュール式で柔軟に導入でき製造現場を見える化し、工場設備の制御の課題を解決します。
接続性など多彩なメリット
従来のPLC制御に、将来に向け拡張できるフィールドレベルとのシームレスな通信を実現します。IO-Linkは、データインターフェース機能以外にもさまざまなメリットをもたらします。機械に分散設置できコスト効果が高く、標準化通信で信号を処理します。
1.モジュール式で分散設置、将来的な技術や拡張に対応:機械制御のシステム化
IO-Linkは、センサとコントローラ間をつなぐ標準通信規格です。信号の種類に関係なく、すべてのセンサをIO-Linkマスタと接続します。このため次のようなメリットがあります。:
- アナログ・デジタル・温度・圧力など信号に関係なくすべてのセンサを接続
- 制御システムからパラメータを一括設定
- モジュール式で設置が簡単
- 専門知識がなくても故障時の機器が簡単にできる
機械設備への導入が柔軟で拡張が可能、労力をかけずに製造現場を可視化できます。
2.省配線・低コスト・制御性を向上
IO-Linkによるシステム配線の効率化:IP67のIO-Linkマスタ・モジュールは、制御盤や特殊配線が不要で設置が可能で、フィールドから信号を直接収集します。
- 通信と電源を標準M12ケーブル1本で接続しコストを節約
- 工場配線を最大70%削減
- 機器の診断と状態の情報をマスタから直接伝送
- リアルタイムでエラーを検出しダウンタイムを短縮
これにより、設置や配線にかかる時間と使用部品数が低減でき、作業ミスが起こりにくくなります。
IO-Linkのメリット
簡単で早く立上げられる
プラグ&ワーク式でデバイス検出とパラメータ設定を自動的に行います。複数の機器を一括設定でき、作業の負担が減りシステムを短時間で立ち上げられます。
工場の稼働を効率化
連続通信により、摩耗状態や信号品質、外部の影響に関するデータをリアルタイムで伝送し、状態基準のメンテナンスとシステム稼働の最大化を実現します。
モジュール式で簡単
IO-Linkマスタは現場に分散して直接設置でき、制御盤不要で省配線化が実現します。モジュールの追加や撤去・交換が簡単、要望に合わせた拡張が可能です。
標準接続でコストを節約
IO-Linkは、標準化された構成でセンサの種類やメーカーに関係なく接続できます。このため、通信方式やメーカー毎に機器を購入する必要がなく、保有数の削減でコストを節約でき、メンテナンスが簡素化されます。
従来のポイント・ツー・ポイント接続とIO-Link制御システムの比較
従来のポイント・ツー・ポイント接続
従来の制御盤
- 多数の端子に接続し配線ミスが起こりやすい
- 制御盤の設計時に25~30%の空きスペースを設け将来的な拡張に備える必要がある
- 拡張は既存の膨大なケーブル配線を把握した上で行わなければならない
デジタルとアナログの信号変換時に誤差
- ON/OFF信号やアナログ信号のセンサはノイズが起こりやすい
- デジタルとアナログの変換毎にデータの精度が低下し、信号を収集してから最終処理までの過程で誤差が生じる
従来のセンサ
- 流量や温度などセンサで複数の値を測定する場合は出力専用の配線が必要
- 機器との直結で膨大な端子配線が必要
IO-Link制御システム
IO-Linkにより制御盤を省スペース化
- フィールドにI/Oを設置でき制御盤の場所を取らない
- 制御盤にかかるコストを約35%削減
- 立上げ時間を約60%削減
完全デジタル式通信
- 双方向イーサネットによるIO-LinkマスタとPLC間のデジタル式高速通信
- 配線が長くてもEMC障害がなく信号が損失しない
- 完全デジタル通信のため、データ伝送の失敗や変換エラーが少ない
IO-Linkのメリット
- 最新センサ技術の大半に対応するIO-Link通信でセンサのコストを抑えられる
- 産業用標準3線式非シールドケーブルで通信・電源を1本で接続し、流量・温度などのプロセス値や履歴などの各種診断情報を伝送
- 故障による機器交換時も、古い機器のパラメータ設定を自動で読み取り新しいセンサーに瞬時にコピーできダウンタイムを最小限に短縮