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  1. moneo:IIoTプラットフォーム
  2. ユースケース

消費電流に基づくファンの状態監視

生産工場の中央排気システムには、複数のファンがあります。生産工場全体の排気プロセスの品質はファンの出力に左右されます。

排気システムは、さまざまな生産プロセスに関わります。はんだの煙やレーザマーカからの煙を排出するためや、機械の稼働率を確保して生産プロセス全体をスムーズに動かすために使用されます。そのため、状態ベースのメンテナンスは必須です。

これを実現するために、既存の振動監視に加えて、ファン1台の3相すべての電流値を測定します。位相差を測定することで、ファンのモータの状態に関する追加情報を取得できます。

初期状況

このプラントでコンプレッサが故障すると、次のように広範囲に影響を及ぼす可能性があります。

  • 廃熱が十分に消散しないことによる機械のダウンタイム
  • 生産損失によるコストへの影響
  • 高額な修理コストの可能性
  • はんだの煙が排気されないことによる作業スタッフの健康リスク
  • 微粒子が適切に廃棄されないことによるレーザマーキングの品質低下

最悪の場合、生産エリア全体の停止につながることがあります。

ファンの振動監視とmoneoに送信されるデータにより、損傷の可能性を検出するための情報が得られます。

しかし包括的な評価のためには、ファンと上流の周波数コンバータの電気状態に関する追加データが必要です。

プロジェクトの目的

位相差を測定することによる、ファンの状態監視の拡張

目的は、次の項目を監視し、ファンの動作稼働率を確保することです。

  • モータの巻き線
  • 回転部品の自由運動
  • 周波数コンバータ内の電子機器

実装

moneo|RTMが中央のサーバにインストールされます。IO-Linkマスタは社内VLAN経由でサーバに接続されます。

ifmには幅広いオートメーションコンポーネントがあります。このアプリケーションには3台のZJF055電流変換器と、AL2605 IO-Link 入出力モジュールが採用されました。

電流変換器は、周波数コンバータとファンの接続端子の間、3つのAC位相U/V/Wすべての供給線に使用されます。コンバータの測定値は、信号出力4~20 mAのアナログ信号として提供されます。この値は、AL2605を経由して4~20 mAからIO-Link信号に変換されます。

データはAL1352シリーズのIO-Linkマスタを経由して、moneo|RTMで利用できるようになります。

3つの供給線U/V/Wの消費電流値は、3つの電流変換器で測定されます。

有用なプロセス値を取得するため、電流変換器の測定値をコンバータの実際の電流値(4 mA ≙ 0 A、20 mA ≙ 50 A)に変換する必要があります。これは「Calculated values」機能を使用してmoneo RTM内で実行されます。

次の電気的および機械的損傷パターンを検出できます。

  • モータの巻き線の短絡
  • 回転部品の遅滞
  • 周波数コンバータの故障

判定された電流値は次のことに使用されます。

  • 3つの位相差の計算
  • 3つすべての位相の平均電流を判定
  • 各値の比較

結果

時間ベースのメンテナンスから状態ベースのメンテナンスへの移行によるプロセス最適化

包括的なデータ記録により、差し迫った故障を早期に検出できます。そのため、状態に応じてメンテナンス作業をスケジュールし実施できます。これにより、プラント全体のプロセス信頼性の決定的な理由付けができます。

電流値により、モータの巻き線短絡の可能性、回転部品の遅滞、周波数コンバータの故障など、原因がどこにあるのか導き出すことができます。

システムの構造

  1. 電流変換器
  2. IO-Link入出力モジュール(AL2605など)
  3. IO-Linkマスタ(AL1352など)

ダッシュボード

moneoダッシュボードの概要を把握できます。

ダッシュボードには、このプラントの重要なプロセス値の概要が示されます。

  1. mAで測定された電流値U | V | W
  2. 位相差 U-V | V-W | W-U
  3. 電流不平衡 U-V | V-W | W-U
  4. 3つすべての位相の平均電流

分析

分析機能では、履歴データにアクセスし、さまざまなプロセス値を比較できます。図に、U、V、Wの電流値をmAで示します。

ここでは、起動段階①ではオーバシュートがある一方、通常動作②では電流値は落ち着いていることが明確にわかります。スイッチオフの瞬間③には、モータのインダクタンスによる小さいピークがあります。

  1. 起動段階
  2. 通常動作
  3. スイッチオフの瞬間

設定とルール:しきい値の管理

静的しきい値

三相機械では、いわゆる電流不平衡は10%を超えてはなりません。各差分値に対して、値が≥10%の場合にはアラームが作成されます。

  • U-Vで10%を超える場合のアラーム
  • V-Wで10%を超える場合のアラーム
  • W-Vで10%を超える場合のアラーム

ファンモータの起動時または急激な負荷変化の発生時には、最大10%の許容帯を使用する可能性があるため、警告限界値に対する監視は実施していません。

  1. 上限アラームしきい値
  2. アラームしきい値の遅延時間

チケット処理ルール

この機能を使用して、警告またはアラームがトリガされた後に何をすべきかを簡単に定義できます。

メンテナンス措置が必要なアプリケーションでは、サービスコールを早めに計画することが推奨されます。

計算値

「計算値」機能を使用して、プロセス値をさらに処理できます。このユースケースでは、さらにさまざまなプロセス操作が実施されています。

  • モータ電流を計算するためアナログ4~20 mAから電流変換器の電流値への変換
  • 位相差の計算
  • 三相の平均電流の計算
  • 電流不平衡の計算

このユースケースでは、駆動モータの3つの位相すべてが監視されるため、計算を複数回実施する必要がある場合がありました。

モータ電流を計算するための、アナログ4~20 mAから電流変換器の電流値への変換

使用される電流変換器は、4~20 mAのアナログ信号を提供し、まずそれをプロセス値(mA)に変換する必要があります。これを3つすべての位相に対して実施しなければなりません。

モータ電流 = (AIN-4,000) * ((AEP-ASP)/(16,000)) + ASP

Dataflow Modeler

  1. 電流変換器のアナログ電流(4~20 mA)
  2. 一定:アナログスタートポイント(0 mA = 4 mA)
  3. 一定:アナログエンドポイント(10,000 mA = 20 mA)
  4. 電流スパン:アナログ値(20,000 – 4,000 = 16,000)
  5. アナログ値のオフセット(4~20 mAを0~16 mAに)
  6. 計算:スタートポイントからエンドポイントまでのデルタ(AEP – ASP = ∆A)
  7. 計算:電流から電流への係数(mA)(∆A / 16 mA = 係数)
  8. 電流値(0~16 mA)に係数を乗算
  9. 電流値の結果(mA)

位相差の計算

電流不平衡を計算するために、まず個別の位相(U-V、V-W、W-U)の差動電流を計算する必要があります。

∆モータ電流 = モータ電流U - モータ電流V

  1. 電流変換器の電流値1(mA)、例:U
  2. 電流変換器の電流値2(mA)、例:V
  3. 位相UとVの絶対差の計算
  4. 電流差(mA)

三相の平均電流の計算

電流不平衡を%で示すためには、まず3つの位相の平均値を判断し100 %のベースを作成する必要があります。

平均電流 = (モータ電流U + モータ電流V + モータ電流W)/3

  1. 電流値U(mA)
  2. 電流値V(mA)
  3. 電流値W(mA)
  4. 電流値UとVの加算
  5. 電流値Wの加算
  6. 位相数の定数 = 3
  7. 合計電流を位相数で除算
  8. 結果の平均電流(mA)

電流不平衡の計算

電流不平衡(%)は、電流差(U-V、V-W、W-U)と3つすべての位相の平均電流から計算されます。このユースケースでは、リミット値を作成するためにこの値が必要です。

電流不平衡 = (∆モータ電流)/(平均電流) * 100%

  1. 電流差U-V(mA)
  2. 電流平均 U-V-W
  3. 電流差を平均電流で除算
  4. 定数100%
  5. 平均電流に対する電流差の率に100%を乗算
  6. 結果を小数第1位までにする
  7. 電流不平衡(%)の出力