レーダセンサの技術とアプリケーション
レーダはRadio Detection and Rangingの略で、自動化において重要かつ革新的な技術の1つであり、ハイジェニック用と産業用の両方のアプリケーションで幅広く使われています。
レーダセンサは、約30MHzから約300GHzの周波数帯域を利用し、物体や媒体に放射した電磁波の反射波を送受信することにより距離を測定します。
ifmのレーダセンサは、周波数変調連続波方式(FMCW)により物体を検出します。センサは、周期的に周波数を変化させながら高周波の電磁波を放射します。センサは、内蔵のアンテナで反射波を受信し物体を検出・測定します。物体に電波を照射し、連続変調した周波数と反射波の周波数の送受信信号の位相差から、物体の距離・速度・方向・位置の情報が正確に得られます。
レーダ技術は、過酷な気象・温度や外乱光などの条件下でも安定して動作します。そのため、常に正確に測定できます。
レーダ波は大気中を自由に伝播し、物体や媒体を長距離検出できます。アプリケーションやセンサの種類によっては、最大50メートルまで検出可能です。
レーダセンサから照射された電磁波は、さまざまな材質の物体を透過します。樹脂のカバーや容器で覆われている場合も、センサの測定には影響しません。
レーダは、長距離から物体や媒体に接触せずに検出できます。密度・粘度・温度・pHなどの特性が測定に影響を与えることはありません。
レーダ技術により、高速で信頼性と精度の高い測定が可能です。
レーダ反射断面積
レーダ反射断面積(RCS)は、レーダでどの程度ターゲットを検出可能かを示す指標であり、ターゲットのレーダ反射強度を示します。RCS値が高いと、より多く電波を反射し物体を検出しやすくなります。
RCS値は、材質・物体の大きさ・入射角などの要因に依存しますが、電波を反射するターゲットとの距離には依存しません。誘電率が高く形が大きい物体ほど検出しやすくなります。
レーダの周波数とアンテナの大きさ
レーダセンサの検出範囲と精度を決定する重要な要因が、レーダの周波数とセンサのアンテナの大きさで、この2つにより開口角が決まります。
開口角が小さいほど指向性が高く、センサはより長い距離で正確な検出がしやすくなります。また、タンク内の構造物による干渉を抑制することができます。
ポイント:
- 同一の周波数では、アンテナのサイズが小さいほど開口角が大きくなります。
- アンテナのサイズが同じ場合、周波数が高いほど開口角は小さくなります。
- 高周波は波長が短いため、アンテナの小型化が可能になります。
レーダの分解能
レーダの分解能(距離精度)は、距離の近い複数のターゲットを区別して検出できる能力のことです。密集した複数のターゲットでは、測定値の差が小さく1つのターゲットとして認識される恐れがあり、識別して検出できない場合があります。レーダの基本となる分解能は2つあります。:
距離分解能
距離分解能は、送信信号の周波数帯により決まり、複数の物体の距離の違いをレーダセンサが識別できる能力のことです。
レーダセンサから水平・垂直方向の同じ位置にあり距離が違う物体を、確実に識別して検出できます。ただし、正確に位置を特定するためには、距離分解能だけでは不十分です。
角度分解能
角度分解能は、ターゲットが位置する角度からレーダセンサがそれぞれを識別する能力のことです。角度分解能は、方位角(水平方向)と仰角(垂直方向)に分けられます。
レーダアンテナの開口角(視野角)は、角度分解能を決める重要な要素になります。角度分解能は、アンテナの数と設計が大きく影響します。