エンデサ - 水力発電所のデジタル化
電力会社エンデサが推進する水力発電所の次世代化
効率性と安全性を高め持続可能な運用を支えるifmの自動化ソリューション
欧州を代表する大手電力会社の1社であるスペインのエンデサ(Endesa)は、再生可能エネルギーへの発電シフトを積極的に推進しています。同社が所有する水力発電所は長い運転実績を持ち、将来にわたって高効率かつ安定した稼働を継続するため、改革の一環としてインダストリー4.0によるデジタル化戦略を進めています。エンデサの取り組みを、自動化分野に強みを持つifmが支えています。
長期運転された発電所の最新化
エンデサは、子会社エネル・グリーン・パワー・エスパーニャ(Enel Green Power España)を通じてスペイン国内で174の水力発電所を運営しています。これらの発電所は5,350MWの発電能力を有し、水力発電量は年間約9,000GWhに達します。発電所の多くは20世紀初めに建設され、有人運転で稼働してきました。その後、デジタル化の進展とともに効率・安全性・持続可能性に対する要求が高まる中、エンデサはすべての発電所を最新基準に適合させるという複雑な改修工事の課題に直面していました。
「長年稼働してきた従来型の発電所を最新化することが当社の目標です。最新のデジタル化技術を活用することで、すべての発電所の稼働状況を可視化し、予兆保全を可能にします。これにより、発電全体の安全性が向上します」と、エンデサの水力発電所保全技術長であるJulian Alberto Alonso氏は言います。
1世紀の歴史を持つ水力発電の将来
エンデサのデジタル化における先行事例の1つが、スペインのコルドバ州にあるエル・カルピオ(El Carpio)水力発電所です。この発電所は、約1世紀にわたり水力によるグリーン発電を続けてきた、歴史的と現代が融合した象徴的なランドマークです。グアダルキビル川から取水し、合計3基のタービンによって発電を行っています。「隔離された環境の発電所の運転をスマート監視・保守により効率化するため、最新の計器と自動化技術を導入することを決めました。設備停止をできる限り最小限に抑え、巡回点検の頻度を最適化することが目標でした」と、エンデサの予兆保全技術マネージャーであるAntonio Roldán Reina氏は説明します。
ifmのデジタル化とIO-Linkが選ばれた理由
エンデサと子会社エネル・グリーン・パワー・エスパーニャは、これらの意欲的な目標を達成するため、自動化を専門とするifmを採用しました。「ifmのソリューションを選んだ理由は、過酷な環境下の信頼性です」と、Antonio Roldán Reina氏は語ります。「高温多湿な発電所の環境においても、ifmのセンサはこれまで一度もトラブルを起こしていません。さらにifmは、導入前の段階から手厚い技術サポートを提供してくれました」
デジタル化推進の過程において、データ通信規格IO-Linkの採用も重要な要素でした。オープン産業通信IO-Linkは、ifmが設立当初から開発に参加し、産業分野で長年確立されてきた技術である点が評価されました。IO-Linkマスタを介した双方向通信により、リモートから柔軟にセンサ設定を行うことができます。さらにIO-Linkセンサは、従来のアナログ式センサでは取得できなかったデバイスのステータス、センサ内部温度、動作サイクルといったさまざまな情報を伝送します。同時に複数のプロセス値を出力することも可能です。例えば、圧力センサは媒体温度も伝送でき、流量センサは現在の流量、温度、媒体の圧力、積算流量を一括して検出します。これにより測定ポイントを削減でき、設置作業にかかる労力や時間、コストの低減につながります。
デジタル伝送のためデータ損失がなく、アナログ式と比較して高い精度と信頼性を実現します。IO-Linkはセンサ交換も容易で、新しいセンサを接続するだけで、保存されたパラメータをIO-Linkマスタから読み取りコピーすることができます。これにより、設定ミスの防止と立上げ時間の短縮が可能になります。
配線量を30%削減
さらに、IO-Linkマスタはフィールドバス通信に対応しており、分散設置された現場のセンサデータを収集し一括送信します。その結果、発電所内のセンサとIO-Linkマスタ間、そしてマスタからコントローラやITレベル間までの配線が大幅に簡素化されます。これにより、センサとITレベル間を一気通貫で接続するエンド・ツー・エンドの高速デジタル通信が実現します。
「IO-Linkの採用により、当社では約30%の省配線効果を得ることができました。加えて、センサを使った設備の常時状態監視によって、運転の信頼性が向上しています」と、Antonio Roldán Reina氏は強調します。「ifmは豊富なIO-Link製品ラインナップを提供しており、自動化ソリューションに必要な部品を一括調達できるため、導入をスムーズに進めることができました」
写真1:最新センサ技術で設備の状態を常時監視する水力発電所
写真2:IO-Linkマスタと診断ユニットで振動データを収集しITレベルへ一括伝送
写真3:振動センサのデータをITレベルで分析。計画的なメンテナンスの最適化を実現。
各発電所で3000点のデータをリアルタイム分析
「エンデサの最新化された発電所では、ifmの多彩なセンサを活用して高度な状態監視を行い、設備の状態を正確に把握しています。圧力、温度、流量の各センサに加え、油中水分と温湿度の分析センサを用いて測定を行い、潤滑油の品質と使用状態を常に確認しています。振動センサは、機械の重要部分の故障予兆を早期に検出します。特に振動監視は、当社の予知保全プログラムの中核を担っています」と、ntonio Roldán Reina氏は述べます。
エンデサでは、発電所毎に約3,000点収集するリアルタイムデータをITシステム上で一元的に集約し、人工知能を用いて情報を分析しています。「発電設備の故障予兆を検出することで、状態に応じたメンテナンスを計画的に実施できるようになりました」と、エンデサの保全技術者はその導入効果を語ります。
次世代発電に向けたEnergy Production 4.0の大きな一歩
こうした取り組みのメリットは、発電所の運営体制にも及んでいます。「当社では、すべての水力発電所でifmソリューションを標準導入するプロセスを進めています。これによりセンサの保有数を最適化でき、不具合発生時の設備停止を大幅に抑制できます」と、Julian Alberto Alonso氏は言います。また、エンデサと自動化を専門とするifmのパートナーシップは、協業における強固な信頼関係も築いています。「ifmの知識と経験に裏付けられた技術、そして互いの信頼による協業で、インダストリー4.0の実現に向け大きく前進することができました」