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樹脂注型加工プラントのレベル監視と補充管理

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物流業界
ユースケース

RTMを導入した内部物流プロセス管理によるタンクレベルの把握と分析

樹脂注型加工(ポッティング)は、主剤の樹脂と硬化剤を配合して型に注入して成形する、センサの重要な製造工程です。この工程により電子機器は、耐衝撃・振動性や防湿性に優れた性能を手に入れます。

製造プロセスの信頼性と品質を維持するためには、主剤と硬化剤の準備をすべて整えてからタンクの中に投入しなければなりません。そのため、材料が入っているタンクのレベルを監視する必要があります。また、内部物流管理プロセスを自動化し、材料の補充体制を確立することが求められます。

初期状態

今までは材料が入ったタンクの実際の液面レベルをプラントの制御システムによって監視していました。タンク交換が必要な時はシグナルランプが点灯して通知していた。材料の補充は、中央倉庫がメールを送信してプラントから発注しなければなりません。自動的に補充を行う管理機能はありません。

また、材料補充の手続が早すぎる場合があることも問題になっていました。このようなことが起こると、使用期限切れになった材料が使われてしまいます。

さらに、主剤の樹脂と硬化剤は加工に使用する前に製造環境温度に順応させる必要があります。気温の低い時期は、製造環境の温度に順応する十分な時間がとれないまま、搬入された材料がすぐに工程に投入され、さまざまな問題が発生していました。

プロジェクトの目的

プラントの製造需要に合わせた原材料の供給体制を確立することを目標とします。タンクの液面レベル監視もこの目標の中に含まれます。さらに、使用時に原材料が確実に準備できている補充体制を確立した自動発注プロセスを導入する計画です。

実装

moneo RTMソフトウェアを中央サーバにインストールします。IO-Linkマスタを会社のITネットワーク内のVLANサーバに接続します。レベルセンサをIO-Linkマスタに接続してIO-Link通信を行います。

プラント内に設置済のレベルセンサから現在のレベルをプラントの制御システムへ伝送します。プラントの既存の制御システムに影響せず統合できることを保証するために、Yパスが使われます。

moneo RTMをSFIインターフェースによりSAP MMモジュール*とSAP PMモジュール**に接続されます。moneo RTMは規定のアラーム/イベントをSFIインターフェースからSAPへ送信します。SAP MMやSAP PMモジュールは実際のプロセスに応じて処理を実行します。

しきい値を超えると数キロ先にある中央倉庫が発注プロセスを開始します。このプロセスは材料が生産に利用可能になると終了し、レベルセンサからタンクの補充が完了したことを通知します。このシステムはSFI補充管理と呼ばれます。

*SAP MMモジュール = 購買・在庫管理領域(Material Management)モジュール、社内の一連の購買フローの計画・管理用
**SAP PMモジュール = プラント保全領域(Plant Maintenance)モジュール、プラント設備のメンテナンス用

その結果、

  • 時間基準のメンテナンスから内部物流プロセスの管理までプロセス最適化を実現
  • SFIインターフェースによるSAPシステムとの統合
  • SFI補充管理によるSAPを使った原材料補充・発注体制の自動化
  • センサのデータ収集とmoneoソフトウェアを利用したレベルの詳細情報の記録と表示
  • プロセスパラメータのアラーム設定・管理による異常発生時の迅速な対応
  • 自動補充プロセスによる需要に合わせた的確な材料投入
  • 上限/下限しきい値の逸脱の認識
  • 製造機械の安定稼働とプロセス品質向上によるプラント稼働率の最適化
  • データモデリング(計算値)を使用したセンサ値からプロセス重要情報の読取可能な形式への変換

システム構成

このアプリケーションは、2つのタンクにレベルセンサを各1台ずつ設置する構成になっています。したがって、下図の3と4の処理は2回必要になります。

  1. 既存のプラント制御システム
  2. レベルセンサ(例:LR2050 + E43352
  3. Y型接続ケーブル(EVC843)
  4. IO-Linkデータスプリッタ(E43406 / E43410
  5. IoTインターフェース内蔵IO-Linkマスタ(AL1350
  6. 光電距離センサ(O5D150

ダッシュボード

プロセス値を紐づけしてダッシュボードに概要を表示します。

  1. タンクの現在のレベル(mm)
  2. レベルの警告・アラーム値を信号色で表示
  3. タンクの現在のレベル(L)

分析

分析機能により現在までに消費したタンク内の材料の使用量が確認できます。これによりプラントの稼働率を把握することができます。さらに、タンクの交換時期を予測することも可能になります。ここから得た情報を社内物流に活用して材料供給体制を常に最適化することができます。

チケット処理ルール

各レベルセンサに警告・アラームの下限値と上限値を設定します。過去のメンテナンス履歴(経験)に基づいてこれらの値を設定します。

  1. 警告の上限値 = タンク交換後にすべてのチケットをリセット
  2. 警告の下限値 = プラントから新しいタンクを発注・納入
  3. アラームの下限値 = プラントのタンクを交換

チケット処理ルールの管理

チケット処理ルールのウィザードに従って、警告・アラームの発信時に行う処理を簡単に定義できます。

次の例では、SFIインターフェースを通じてSAP MMとSAP PMモジュールでチケット処理を行います。しきい値よりもレベルが低下すると、SFIインターフェースは、moneoのメッセージと共にレベルがしきい値を下回ったことをSAP MMやSAP PMモジュールに通知します。このような場合は補充管理プロセスが自動的に開始されます。

moneoからSAPシステムへのログオン

  1. SAP/SFIサーバのアドレス
  2. SAP SFIサーバのポート番号
  3. SAP/SFIのユーザー名
  4. SAP/SFIユーザーのパスワード

チケット処理ルールの設定

  1. 適用ルール
  2. しきい値(4)とデータソース(5)
  3. 警告またはアラームの緊急度
  4. 適用するしきい値
  5. 対応するデータソース

SAPシステムのメッセージ

SAP MMモジュールの購買管理ドキュメント

SAP PMモジュールのメンテナンス履歴

SFI補充管理

SFI補充管理を使って、消耗品の自動発注と納入を行います。警告を行うタンクのレベルのしきい値を設定し、この下限値より低下した場合にmoneoが警告チケットを発行します。このチケットは事前に決められたチケット処理ルールに従ってSAPシステムに転送されます。次の画像はSAP MMモジュールの例です。必要な材料を供給するよう要求するドキュメントが自動的に作成されます。

中央倉庫がこのドキュメントを処理し、該当する材料を手配して送ります。アラームの下限しきい値よりレベルが低下した場合、プラントの担当者はすぐに空のタンクを中身が満量のタンクに交換できます。タンク交換が行われたことを確実に検出するために、タンクの警告の上限しきい値も監視します。しきい値の上限を超えた場合、moneoとSAP MMモジュール側が初めの下限しきい値の逸脱を解消します。

タンク交換やメンテナンス等の作業の実施がしきい値の逸脱とならないようにするため、2つのタンクの前にあるドアの開閉を、光電センサを使って監視します。ドアが開くとセンサのプロセス値が上書きされ、ドアが開いている間は値が保持されます。これは、データフローモデラー>機能によって行われます。

  1. 警告の上限しきい値
  2. 警告の下限しきい値
  3. アラームの下限しきい値
  1. 満量のタンク
  2. 製造プロセスタンクの中身を消費
  3. レベルが警告のしきい値より低下
  4. moneoがチケットを発行しSAPシステムからSFIインターフェース経由で送信、同時に前回のタンク交換時に発行された上限しきい値の超過に関する警告のチケットをクローズ
  5. SAPシステムが新しい材料補充をリクエストしifmの中央倉庫がチケットを発行
  6. ifm物流サービスから材料が手配され搬入される
  7. レベルがアラームの下限しきい値に到達
  8. moneoがチケットを発行しSAP PMモジュールからタンク交換が必要なことがプラント担当者に通知
  9. 空タンクと新しい満量タンクを交換
  10. タンクが交換されるとレベルが警告の上限しきい値に到達
  11. 警告の上限しきい値に到達すると下限しきい値の逸脱警告が解消

計算値

レベルを基に次の値を計算します。

タンクの現在のレベル(L)

「底面積×レベル」の式を使用って、既知のタンクの底面積から補充量が簡単に求められます。

  1. タンクの現在のレベル(mm)
  2. データソースを単位変換する係数(ここでは1 = mm)
  3. タンクの底面積(mm²)
  4. 出力の単位変換係数(1,000,000 = l)
  5. 単位のスケーリング(mm)
  6. 底面積(mm²)×レベル(mm)= 体積(mm³)
  7. 出力単位をmm³からリットル(L)にスケーリング(dm³)
  8. 計算から求めた体積(L)

ドアが開いた時に行うプロセス値のバイパス処理

次のデータフローモデルを使用して、タンク交換中やメンテナンス作業による意図しないしきい値のトリガで誤発注が行われないよう、ドアの開閉監視を行います。

  1. タンクの現在のレベル、mm (入力値)
  2. 出力値のバイパス処理を行う固定の定数
  3. バイパス処理を有効化するトリガ入力
  4. Double値からBoolean値への変換ファンクションブロック - 数値を論理値に変換:true = 1 / false = 0
  5. トグル入力処理によりfalse=0で入力Aを出力、またはtrue=1で入力Bを出力するシグナルスイッチのファンクションブロック
  6. 結果(出力値)