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moneo RTMを利用したブラダ形アキュムレータの監視

Monitoring and maintenance
機械性能
ユースケース

油圧装置に使われるアキュムレータには、ブラダ形の他に、ダイアフラム形やピストン形、スプリング形のさまざまなタイプがあります。ブラダ形アキュムレータは、油圧装置の圧力を保持し、エネルギー蓄積による省エネや、ポンプ回路に発生する脈動を減少させる働きがあります。

moneo RTMを使って油圧装置のブラダ形アキュムレータタの状態監視を簡単に行うことができます。ブラダの破損・破裂の兆候を早期に検出でき、油圧装置の予期せぬ稼働停止を防ぎます。

初期状態

現状はブラダ形アキュムレータの機能監視が行われていません。メンテナンスは定期的に(時間基準で)実施しています。ブラダの疲労寿命に関する情報は把握できていません。圧力センサや温度センサを設置していますが、センサデータを活用する詳細な分析や監視は行われていません。

このような経緯があり、アキュムレータのブラダの破損を発見するのが遅くなったり、まったく検出されない場合があります。その結果、システムの他の部品も故障するおそれがあります。ブラダ形アキュムレータの容積補償ができなくなると、油圧ポンプの負荷が増加して十分な蓄圧を保持できない危険があります。

プロジェクトの目的

このようなアプリケーションに対し、特許を取得したifmの状態監視はメンテナンスを最適化してブラダの破損の兆候を早期に検出します。

窒素ガスの封入・放出回数等の主要パラメータを監視することにより、ブラダの破損の兆候を早く見つけることができます。パラメータが設定したしきい値を超えるとアラームで警告します。

また、アキュムレータのさまざまな場所の表面温度を常時測定して現在の状態を把握し、ブラダの破損・破裂の兆候を早期に検出できます。

実装

ブラダ形アキュムレータの状態監視は設置済のセンサを利用して、データとしきい値の表示・制御をmoneoRTMで行います。システムの邪魔にならないケーブル型温度センサを追加設置します。moneoRTMは社内サーバにインストールします。すべてのセンサの値が、IO-Linkマスタから社内のVLANとmoneoに伝送されます。

その結果、

moneoの導入によってコンディションベースの保全が可能になり、油圧装置の工程能力が確保されます。moneoRTMはさまざまなことを実現します。

  • すべての測定値ダッシュボードに表示
  • 温度センサ間の差分を計算
  • ブラダの窒素ガスの封入・放出回数をカウント
  • しきい値の制御
  • チケット発行・メール・SFIによる警告
  • ブラダの破損の早期検出
  • 時間を基準とする保全から状態を基準とする保全への移行によるプロセスの最適化
  • AIによるプロセス値の監視

システム構成

  1. システム圧用の圧力センサ
  2. 油圧装置用の温度センサ
  3. アキュムレータ用の温度センサ
  4. ブラダ用の温度センサ
  5. IO-Linkマスタ

ダッシュボード

ダッシュボードの画面は、ブラダ形アキュムレータに紐づけられたすべてのデータを見やすく表示します。

  1. ③と④の温度差
  2. ④と⑤の温度差
  3. ブラダの表面温度
  4. アキュムレータの表面温度
  5. 油圧装置の表面温度
  6. ブラダ温度の条件付きアラーム
  7. システム圧
  8. ブラダの負荷変化

静的しきい値

静的しきい値を2種類の計算値により監視します(詳細は計算値のセクションを参照)。

まず、計算値から求めた負荷変化の回数を監視します。回数のしきい値はメーカーのデータシートに記載されています。

次に、計算値を使って2つの測定値からなる条件を確認します。

  • ブラダの温度 > 30℃

かつ

  • ブラダとアキュムレータの温度の差分 < 2K

両方の条件が満たされる場合に限りブラダに破裂の兆候があり、アラームを発します。

動的しきい値(SmartLimitWatcher)

動的しきい値(SmartLimitWatcher)からブラダの機能の状態に関する情報が分かります。これを見るために、システム圧をターゲット変数として監視します。動的しきい値の計算に次の補助パラメータを使用します。

  • ブラダの温度
  • アキュムレータの温度
  • 油圧の温度
  • 状態を示す指標となるポンプ速度
  • ポンプの振動値

チケット処理ルール

この機能を使用して、警告またはアラームがトリガされた後に何をすべきかを簡単に定義できます。

定期的な補充が必要なアプリケーションでは、例えば資材管理部門の指定受信者グループに、タンクの内容物が規定レベルを下回っていることを通知するメールの送信によるプロセスの最適化をお勧めします。

計算値

計算値を使用して測定値から追加情報を生成できます。

ブラダの状態アラーム

次のフロー図は2つの測定値を比較しています。両方の測定値の条件が満たす場合に限り1を、それ以外の場合は0を出力します。

  1. ブラダの温度
  2. ブラダの温度の比較値の定数
  3. ブラダとアキュムレータの温度の差分
  4. 温度の差分の比較値の定数
  5. 比較:①は②より大きい
  6. 比較:③は④より小さい
  7. ⑤と⑥を比較するAND演算
  8. 2進数を数値に変換
  9. 結果の出力(0 = 条件を満たさない、1 = 両方の条件を満たす)

ブラダの負荷変化の回数のカウント

次のフロー図は、ブラダの負荷変化の回数をカウントしています。これはブラダの消耗を示す指標になります。システム圧を監視して最大値と最小値を比較します。最大圧力を超えた場合はカウントが増加し、システム圧が最小圧力以下になるまでカウントの増加がブロックされます。

  1. システム圧
  2. 最小圧力値
  3. 最大圧力値
  4. 比較 - システム圧が最大圧力を超過
  5. 比較 - システム圧力が最小圧力未満
  6. RS双安定回路
  7. 計数カウンタ
  8. カウンタ値の出力
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