水処理向け汚泥・下水ポンプの常時状態監視

ユースケース

クレスブロンの下水処理プラント

クレスブロンの下水処理プラントでは、さまざまな種類の膨大な数のポンプを使って、広いプラントから下水を運搬しています。想定外のダウンタイムが発生して正常に稼動できないと、公共水処理システム全体が完全に停止してしまい大きな影響を及ぼします。

液体を輸送するポンプは、吸入側と吐出側に大きい圧力差が生じると液体中に気泡が発生するキャビテーション現象が発生します。蒸気を含んだ小さな気泡は、急激に圧力が上昇すると突然消滅します。こうして気泡が破裂すると、衝撃が生じてポンプの部品やハウジングが内部から繰り返し削られる、侵食が起こります。侵食が大きくなるとポンプはやがて正常に稼働しなくなります。最悪の場合はポンプを交換しなければならず、高額な修理費用が発生します。

初期状態

プラントでは汚泥や下水ポンプの常時監視を行っていませんでした。動作音の変化のみから、ポンプベアリングの損傷やキャビテーション現象が発生していると判断していました。このような方法では、最悪の場合は想定外の稼働停止となり、下水処理プラントの機能に深刻な影響を及ぼし、計画外の修理が必要になるおそれがありました。

プロジェクトの目的

ポンプベアリングのアキシャル方向とラジアル方向の振動実効値を常時記録・表示の紹介
ポンプモータの振動値と温度値の常時記録・表示
ポンプ内のキャビテーション現象の監視・表示
moneoを導入して稼働時間をカウントし、ポンプのキャビテーション現象の発生・継続状態を簡単に検出
計画外ダウンタイムの防止
しきい値のリミットの逸脱・キャビテーション発生時にアラームで警告

実装

下水処理プラントにあるすべてのポンプのベアリングとモータに振動センサを設置して監視します。さらに、巻線の損傷の兆候を早期に検出して過熱を回避するために、温度センサをモータに取付けます。

キャビテーション現象の発生を確実に検知するため、VSE150を使ってポンプ動作の周波数を監視します。また、VSE150でしきい値を設定して、逸脱時にアラームを発信して対象のポンプに現在キャビテーションが発生しているか分析します。

センサ値やアラームはすべてmoneoに記録・表示します。moneoで各ポンプにカウンタを設定して、ポンプ内にキャビテーション現象が発生している時間を正確に求めます。

その結果、

下水処理プラントの安定稼働を実現

公共インフラを支えるポンプのベアリングとモータの重要部分を網羅する総合的なポンプ監視システムが導入できました。しきい値の詳細な監視により、ベアリングの損傷の兆候・ポンプの異物・キャビテーション現象・空運転・巻線の不具合・モータの異物をすぐに認識して、早期に対応することができます。

システム構成

ポンプの非駆動機械(NDE)側ベアリングの振動センサVSA001
ポンプの駆動機械(DE)側ベアリングの振動センサVSA001
モータのベアリングの振動センサVSA001
モータの温度センサTP3232 + TS2229
振動診断増幅器VSE150

概要

Eichert下水処理プラントはクレスブロン・アム・ボーデンゼーとランゲナルゲンの2つの自治体が共同で運営する下水処理場です。この下水処理プラントでは機械・生物学的・化学的・粉末活性炭処理の4段階で下水を処理しています。4番目に行われる粉末活性炭処理は非常に重要で、薬の残留物等の微量な成分もろ過します。4つの段階を経て処理された下水は、最終的にボーデン湖に放流されます。